今までDIYをするときの塗料はブライワックスやオスモカラー、ワトコオイルを使用していました。
しかし、これらは「自然派塗料」とはいえ、完全な「自然派」ではないというデメリットがありました。ブライワックスは全成分公開されていませんし、ワトコオイルに至っては「胎児への影響」なんていう文言まで書かれています。
また、最近はこれらの塗料も手に入りやすくはなりましたが、メジャーな塗料ではありませんから、いくつかのホームセンターをはしごしたり、ネット通販で購入することも多いです。
これらの難点を解決するのが「自分でステインを作る」ということでした。
目次
自分でステインは作れるの?
食品等を用いることで、自分でステインを作ることは可能です。例えば、以下のようなものが自作ステインになります。
墨汁を()にしているのは、本物の墨汁であれば使えると思うのですが、市販の安い墨汁は「墨液」であり、ただの「水性インク」です。このため、「自然派」とはちょっと意味合いが変わってきます。
また、柿渋や渋墨などはAmazon等で購入できますが、コーヒーやら紅茶やらを混ぜることなく使用できますから、「自作ステイン」とはニュアンスが異なるため、()にしました。
コーヒーのステイン(塗料)の作り方
コーヒーはインスタントタイプを使用しています。「茶色・オレンジ系」のステインとして塗布できます。コーヒーを大量に使うので、業務スーパーの安いコーヒーを買っています。
コーヒーをステインにするときは粉っぽさが残るくらい、濃いめに溶きます。このコーヒー液を薄く伸ばします(水分が多いといつまで経っても乾かない)。
スチールウール+酢のステインの作り方
スチールウール(鉄100%)を酢に漬けて酸化させます。1日以上置いたものは「黒系・灰色系」のステインとして塗布できます。私の場合、数週間寝かしたものを使用しています。数週間寝かせたものであれば、少量でも濃い色が出るので、薄く伸ばして使用できます。
酸化するときに気泡ができますから、フタは開けておきます。
ちなみに成分は「酸化鉄」です。フライパンにも付いている「サビ」ですから、万が一口に触れても問題はないでしょう(酸化鉄でも、鉄以外の成分が入らないように「鉄100%」のものを選ぶことが重要です。
手作りステインのメリット・デメリット
食品系のステインのデメリットは?
食品系のステインにもデメリットがあります。
まず、コーヒーや紅茶を使う場合、よっぽど濃く作らないと色が付きません。このため、意外とコスパが悪くなる可能性があります。
スチールウールの場合、作っておけばいつでも使えますが、作りおきしておかないと「明日塗装したいのに」という要望に応えることができません。
また、乾燥時間も問題です。水(お湯)で溶いたり、酢を使っていますから、「水性ステイン」や「油性ステイン」として売られているものと比較すると、どうしても乾燥時間が長くなります。水が多ければ多いほど、乾くまでに時間がかかりますから、中には数日経っても「乾いていないような気がする」と感じることもあります。
更に、このような自作ステインの場合、最後はオイルフィニッシュにすることも多いでしょう。食品系ステインの上にオイルフィニッシュにすると、水をこぼしてしまったり、水拭きをすると、その部分が白く浮いてしまうという難点があります。テーブル等に使うときは数日はオイルを塗り込むか、そもそも水を多く使用する場所には使用しない方が無難です。
臭いも問題です。コーヒーや酢ですから、臭いは強烈です。しばらくは塗布した木材から臭いがします。作業中は窓を開放しておく必要があります。
また、色も塗って乾燥させるまでははっきりと分かりませんし、日をまたいで同じ色を再現するのは難しいです。
食品系ステインのメリットは?
ただ、食品系のステインにはメリットも多くあります。
一つは手に入りやすさです。ブライワックスやオスモカラーは未だに取扱店が限られています。ホームセンターに足を運んでも売られていない、なんていうことも多々あるのです。しかし、コーヒーやスチールウールなら家に常備しているご家庭も多いでしょうから、「手に入らない」という悩みは減ります。
また、スチールウールのステインに関しては作り置きしておくという必要がありますが、作っておきさえすれば、いつでも塗布することができます。小さな瓶で十分ですから、塗料の収納スペースを減らすこともできます。
最大のメリットは「完全自然派」が実現できるということです。自然派ステインはいくつもありますが、やはり成分は気になりますよね。しかし、コーヒーやステインなど、自分で選んでステインを作れば、成分に関する悩みもなくなるでしょう。
実際に食品系ステインを使ったサンプル
上記の写真がbefore、下記の右がインスタントコーヒーで染めた板、左がインスタントコーヒーにスチールウール液を僅かに足したもの(5ml程度)です。
インスタントコーヒーを濃いめに作ることで、一般的なステインと同様の効果が見込めます。
この後は紅花油でオイルフィニッシュしています。